前回のエントリの、

>『列強の挑発に乗らずに、日本があのまま餓死するなり、泣き寝入りしてれば良かったのに』といいたげな日本完全悪論には頷けないですね。
 

を受けて。

この飛頭蛮さんのコメントは、日本の政治、思想を語るのに結構重要な意味を持っていると思うので、ちょっち考えてみたい。
テーマは大東亜戦争とか、アジア太平洋戦争とか言われるものを今回は取り上げるが、
同様なものは日本の思想の色んなものに言えると思う。


さて。
「日本政府が太平洋戦争を始めたのは誤りであり、
我々は反省しなければいけない」


というのは、日本の国是である。
総理大臣がコロコロ変わって国の意見が変わっても、
その見解は変わらない。
小泉さんだって、安倍さんだって、福田さんだって、麻生さんだって、同じことを言ってきた。
多分鳩山さんも同じことを言うだろう。
外務省のホームページには日本政府の公式見解がいろいろと書いてあるが、
基本的には同じことを言っている。
さらに、「国是」は、日本人のほとんど全てが「正しい」と思ってるし、
(アンケート取ったわけじゃないけど、結果が分かり切ってるからとらないだけだろーと思う)
僕も賛成している。




んでもって。


世の中の右翼と呼ばれるような人は、よくこんな事を言う。
大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」


これは、100%正しい意見である。
戦争において「善悪」という概念を持ち出すこと自体が誤りであるし、
もし無理やり「どっちか悪い」という話を持ってきたとしても、「片方が100%悪い」なんてことになることはありえない。


しかし、この
大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」
というセリフを右翼(ネット右翼含む)が言うとき、このセリフは間違っている。
なぜかと言うと、
大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」
という言葉と、
大東亜戦争は、日本が全て正しい。」
という言葉を同じ意味で使っている。


どうみても、同じ意味で使っている。
何と言うか、右翼の頭の中には、戦争でA国とB国が戦ったとき、
「A国が全て悪く、B国が全て正しい」
かその逆かしかないらしい。
だから、「大東亜戦争は、日本が全て悪い」を否定しさえすれば、
大東亜戦争は、日本が全て正しい」ってことになるらしい。
(右翼本人は否定するかも知れないけど、どう見ても、そーいう思考回路なんだ、こりゃ。)



んでさ、「大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」論者と話すとさ、
大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」まではいいとして、そこから先は妄言としか言えないような、珍妙なことを言い出すんですわ。
いわく、「日本はコミンテルンの陰謀に乗せられただけだから悪くない」とか、
ルーズベルトは人種差別主義者だったから有色人種国家の日本を叩き潰そうとした」とか。
んで僕が、「んなわけねーだろボケ」
とか言うと、
「そうはおっしゃいますが、大東亜戦争は、日本が全て悪いなんて見方は、あまりに単純すぎじゃないでしょうか」
なんて返ってくるんだ。




ちょっと待て。
僕が下らないとか、おかしいとか言ってるのは、コミンテルンの陰謀だとかの部分で、
大東亜戦争は、日本が全て悪い、とは言い切れないこともある。」の部分じゃねーよ。
大東亜戦争は、日本が全て悪い」の否定は「大東亜戦争は、日本が全て正しい」じゃないんだ。
なんで、こんな単純なことが分からん?と言っても、やっぱり分からないらしい。


世の中には「大東亜戦争は、日本が全て悪い」と「大東亜戦争は、日本が全て正しい」しかないらしい。
彼らの頭の中には。


だから、自分の持っている信念(?)である、「大東亜戦争は、日本が全て正しい」を否定する奴は、全員
大東亜戦争は、日本が全て悪い」と思っていると、彼らは思ってる。



確かに、僕は、当時の日本は選択を誤ったと思う。
トラウトマン和平工作を蹴ったこと、仏印に進駐したこと、河本大作大佐を死刑にしなかった事、軍部大臣現役武官制を復活したこと、
まだまだあるけど、それらは確実に日本政府のミスであり、錯誤であり、無能の証である。
だからって、連合国側が一切ミスや落ち度が無かったかと言えば、そりゃねーよ。
ただし、戦争になった要因のひとつひとつを検証していけば、日本側に多くの原因があったことは確かだと思う。
それを「悪い」と命名するかは別としてね。
んでも連合国にしろ、枢軸国にしろ、どっちかが「邪悪なたくらみから純粋無垢の被害者側を一方的に攻撃した」っていう思い込みほど馬鹿らしいことはないと思う。



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