「反日マンガの世界」


僕が嫌いな出版社の筆頭は「宝島社」であります。この出版社、たいして金をかけないで粗悪本を高値で売るやつらというイメージしかありません。
「川島龍太教授脳を鍛える大人のDSトレーニング」がはやればすかさずくだらないパズルを集めて
「脳を鍛える」を売り、
ダビンチコードが売れればさっそく「図解 ダ・ヴィンチの謎」とか全く謎を掘り下げないでくだらないネタを集めただけのくせにいかにも「ダビンチコードの理解が深まりますよ〜」的な雰囲気を出した本を売り、
3Dで目が良くなる!というのがはやればすかさずコンピュータ使えば簡単に作れるだろこんなもん、
っていうような3D絵を1000円で売り、
「作る会の教科書」が話題になれば「歴史教科書比較」とかいう題名なのに各社の記述を抜き出しただけで全く比較になっていない本をうり、
とにかく下らない便乗本を売りつける出版社のイメージしかありません。


なのですが、それに加えて「晋遊舎」という出版社も嫌いになりそうです。
なんつーか、ただネット上のものをコピーして売るって商売が儲かるって気づいたっぽいですね。
こういう元手はかからないし、下らない本だけど売れればいいや、って考え、ものすごく嫌です。
今度出したこの本、なんだよ、これ?一目見ただけで「頭の悪いネット右翼が対象」って分かりそうなもんですね。
表紙を見れば、大体本の中身は予想がつく。
左の人物は美味しんぼ海原雄山、まんなかははだしのゲンの登場人物(誰だろう?隆太かな?)右は同じく美味しんぼの京極万太郎をパロディしているんだろう。
まあ、このコンテンツをただ文章に焼き直したものを掲載しているんだろうな。


ものすごく腹が立つ。
まず、この本(てゆうか表紙)の主張に反論しよう。
美味しんぼはだしのゲンも、愛国マンガである。
美味しんぼについていえば、「激闘鯨合戦」が象徴的だと思う。
「鯨を食べるなんて野蛮」という反捕鯨団体に対し、主人公たちは
「鯨食は日本の誇るべき文化だ。他国の文化を野蛮だとか排斥する方がよっぽど野蛮じゃないか」と反論、奮闘する。
そして反捕鯨団体プロ市民(「プロ市民」という単語は出てこないが、「プロ市民」の概念を1980年代に既に捉えている)性を見抜き、反捕鯨団体が単なる「反日団体」になっていると批判する。
この中で主人公は反捕鯨団体が日本の国旗を燃やす儀式をしていることに抗議している。そのコマで日の丸が燃えている絵が描かれている。
ということは、美味しんぼの中では日本の国旗=日の丸であり、国旗に対する侮辱=許さざる行為という認識である。
そんな愛国漫画の美味しんぼが「この日の丸を掲揚したやつは誰だ〜」とかいうわけが無いじゃないか。


はだしのゲンにしてもそうだ。
ゲンが「全て日本が悪い」とかいうわけないだろ?
ゲンはとびっきりの愛国者ですよ?「すべてアメリカが悪い」なら言うかもしれないけど。
アメ公に真珠湾攻撃のことをなじられたときのゲンの反応
「な、なにを言うんじゃ。日本の真珠湾攻撃と原爆をおとしたことといっしょにされてたまるかっ。アメリカのそんな勝手な理由があるか。おっさん。

 原爆は赤ん坊や小さい子どもや老人……、なんの罪もない人間を何十万人もおばけのように変えて殺し、住む家も人間が生きていくすべてをうばいつくしたんだぞ。そして放射能という永久に消えない病原体をバラまき生きのこってもいまも苦しみぬいて死んでいるんだぞ。アメリカの真珠湾でそんなことがおきたかっ。勝手なことを言うな。えらそうなことを言うな。おどれら戦争を利用して原爆の実験をした人殺しのおそろしい犯罪者じゃ。おどれらアメリカは永久にこの罪はきえないぞ。わすれるな。

 アメリカのバカタレ。おまえら原爆をおとした罪をすなおにあやまれっ。広島 長崎で殺した何十万人の人にあやまれっ。生きのこっていまも苦しんでいる何十万人の人にあやまれ。


どーよ、自称愛国者共。あんたらにここまで言えるか?
アメ公に魂を抜き取られた売国奴はこの愛国心のかたまりの言葉を胸に刻みつけとけよ!
何が「日本が全て悪いんじゃ」だよ!


まあそんなことは副次的なことだ。それよりもっと大事なのは、「美味しんぼ」も「はだしのゲン」も、読めば熱烈な「日本への愛」をひしひしと感じるだろう?
ってことだ。
米、刺身、てんぷら、カレーライス、味噌、そういった物を通して、日本を知り、日本をますます好きになる。
日本の食べ物最高!日本人最高!日本人に生まれてよかった!と日本への愛、郷土への愛を謳歌する。
愛国心ってそういうものだろ?
愛国心は軍隊の中にあるんじゃなくて、ごはんの中にあるとおもう。
「大盛りのごはんに刺身をぶっかける!」
それ以上の言葉はいらない。そこには、日本そのものがあるんだ。


はだしのゲンも、確かにあれは「反戦漫画」だが、それと同時に広島への愛、焦土になっても立ち上がる日本人への称賛に満ちあふれているだろ?
自称愛国者共も言うじゃないか。
まず、家族を愛して、郷土を愛して、そこから愛国心が生まれる。それで初めて愛地球が成り立つって。
あんたら、ここまで自分の郷土を愛してるか?


というわけで、こういう本、大っ嫌いなんだが、たぶん売れるんだよな、こういうの…
馬鹿が買うから。
その辺が悲しい。
イデオロギーをもとに作品を否定するなんて、馬鹿だと思わんか?
「プライド」は戦争を美化する映画だから最低とか言ったら馬鹿だと思うだろ?


※読んでから批判しろというコメントにはお答えできません。
悲しいですが、資本主義社会に消費者に許される唯一の抗議は、「買わない」ということだけなので。


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