南京大虐殺について

この問題には触れずに済ますわけにはいけないのか…
と思ったので、投降します。はい。今回のネタは「南京事件」。
つっても、僕は初めは「真実をしってやる!」と意気込んでいたのですが、少し本を読むだけでギブアップしました。
量が膨大すぎる。
争点もそれに付随する証拠や証言もいちいち吟味してたらきりがないほど盛大に存在する。
シロートがどうこうできるレベルじゃない。
ごめんなさい。これについてはっきりしたことをいうのは無理です。
軍事板常見問題(保全隊の件でちょっと評価落ちたけど、やっぱ僕が信頼しているサイトの一つ)にも

                                                                                                              • -

【質問】
南京大虐殺では結局,何人虐殺されたんですか? 諸説入り乱れて良く分からんのですが・・・


 【 序 】
 まず最初に心得ておくべきは,軍事板では南京虐殺ホロコーストについての話題は好まれない,ということである.
 これらは既に戦史の域を離れてプロパガンダの道具と化しており,プロパガンディストの罵り合いに発展し易いからである.
 「アンネの日記」の項でも述べられているように,細かい部分での議論は専門家に任せたほうがよろしい.
 素人が適当に議論の端っこだけつかまえて,討議しようったって,水掛け論の信仰告白にしかなりゃしない.
 もし専門的に討議したいのだったら,BBSで不毛の論争を繰り返すよりも,大学の史学科に入るなど,相応しい場を求めた方がよろしい.
 まあ,人それぞれの人生だが….


 【回答】
 さて,その南京虐殺ですが,「幻」説から「30万人」説まで,外交的意図も絡んで諸説入り乱れており,現在も真相はよく分かっていません.


 ただし,虐殺否定と30万人説は,完全に否定されているようです.


<捕虜や便衣兵揚子江沿岸に連行して射殺・刺殺した件に関して>


 まず,虐殺否定説では,その論拠である「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」によって,その殺害は交戦の延長としての戦闘行為,そして,便衣兵は捕虜の資格がないので殺害しても不法殺害にならない,としている点.
 これは,武装解除している捕虜・便衣兵を自己の管理下に置いていながらそれを殺害するのは,戦闘の延長とは言えず,叛乱を起こしていない限り,不法殺害となる.
 また,第一線部隊ではその処断権限はなく,軍法会議あるいは軍律会議の判決により処断すべしと言う,国際的慣習であり,現に上海派遣軍,中支那方面軍,第十軍に軍律会議があるので,勝手に処断できないはず,と言う論旨.


 また,下関付近での包囲撃滅戦,揚子江を船や筏で逃げる兵士を射殺したのは,ハーグ陸戦規則の第23条ハ項を根拠にしているが,これは,「武器を捨てまたは自衛の手段尽きて降を乞える敵を殺傷すること」を禁じており,降伏の意思表示を示さずに逃亡する敵兵はこれに当たらない,としている.


 その人数に関しては,「南京地方法院検察処敵人罪行調査報告」での数値を論拠に,30万人説が打ち出されてはいるが,日本側の証言・史料からは,第9師団歩兵第7連隊の安全区掃討作戦による便衣兵殺害の6,670名,第16師団第33連隊の太平門,下関,獅子山付近の捕虜3,096名の殺害,山田支隊の幕府山付近に於ける捕虜など数千名,第十六師団第30旅団が南京西部地区警備中に捕らえた敗残兵数千名,第114師団第66連隊第一大隊が雨花門外で捕らえた捕虜1,657名をそれぞれ殺害しており,日本側は都合20,000名であり,民間人の死者は,金陵大学のSmythe教授の調査によって(但し,これは推計の範囲を出ないと注記している)南京市部における暴行死者2,400名,江寧県の被殺者9,160名.


 これに加えて,第16師団歩兵第38連隊の捕らえた捕虜7,200名を南京に護送して収容.
 第6歩兵師団歩兵第45連隊第2大隊が5,500名の降伏捕虜を釈放,国崎支隊の歩兵第41連隊が,2,350名の捕虜を武装解除後,釈放.
 また第16師団歩兵第30旅団が2,000名の便衣兵を収容している.
 この何割かが死亡したとしても….


 当時,南京にいたのは,中国軍の南京守備隊は実質兵力10万人弱,民間人は避難民が続出して,残っていたのは15〜30万人.
 30万人説だと,南京に誰もいなくなってしまう訳だが,実際には20万人以上の人がいる.
 従って,差し引き10万人以上であり,その数割は逃亡したか,中国軍に殺害されたか,病死したかしたとすれば,数万人というのが妥当な線…(ちなみに,秦氏は4万人説を唱えている).


 後は,埋葬記録の矛盾とか百人切りの虚実についても史料を挙げて反論している.
 結果,虐殺はあった.だけど,数十万人規模のものはなかったと言う形です.


 なお,南京なんですけど,30万人説も含めて向こう系の方々の言う「南京」は行政区分としての南京行政区(当時.省と同格で日本の関東地方みたいな感じ),こっち系の方々のいう「南京」は南京城区(市街地,っても広いけど)と異なっています.
 また被害者の範囲についても,こっち系は南京城攻略戦の過程で直接殺害された数,むこう系は南京地方に日本軍が侵攻し掌握していた期間に直接・間接的に犠牲になった数(犯罪・餓死・病死等含む.但し期間・死因の範囲をどこまで含むかは人によって異なる)と異なっています.
 当然これらの原因は日本軍や戦争だけではないですけど,なんて言うかあの戦争による犠牲全体の話みたいな感じで,どちらかと言うと戦争犯罪云々ではなく戦争そのものの倫理的な面についての話なんです.
 ここら辺を踏まえておかないとまるっきりスレ違いの話になってしまいますです.
 でも向こうでもこっちでも,裏の取れてない数字や思い込みだけで語る方々も多いわけで…


 ちなみに30万人の数字は,国府軍が当時発表した「上海攻囲軍と南京守備軍計80万人のうち損害30万人」が一人歩きしたと思われます.


(眠い人 ◆gQikaJHtf2他)


 【念の為もう一度】
 上記に異論のある向きもあるかもしれない.
 だが繰り返すが,もし専門的に討議したいのだったら,BBSでの論争など,素人同士の水掛論になるだけで不毛.
 それよりは,大学の史学科に入るなど,相応しい場を求めた方がよろしい.
http://mltr.free100.tv/faq08d06.html#nanjing-slaughter

                                                                                                            • -


と言ってるし。
だから、僕なんかではこの問題は分かりません。
そんな無責任な!とかいわれるかもしれませんけど、分かってないくせにさも分かったこという奴らよりはよっぽどマシだろうと思う。


まああくまで個人的な予想で言えば、
南京虐殺論争- Wikipedia
の「中間派」くらいが真実だと思う。
いや、「根拠を出せ」とかいわれても困るけど。
「絶対か?」とか言われたら、絶対ではない、としか言えん。
信仰告白」のようなことをするつもりはありませんので。


ただ、ちょこちょことそれらしい本を読んだ段階で「これだけは言える」と思ったこと。
「30万人」をとり出す奴は肯定派でも否定派でもろくなものはいない。
まず、本気で「30万人」とか言ってる奴は中国共産党プロパガンダを真に受けちゃったやつか、とにかく「日本軍が残虐な証拠」数が多ければ多いほどいいと思ってる奴か、とにかくろくな人間ではない。
30万人も殺されたわけ無いだろ。
「30万人」説を言ってる奴はとにかく訳の分からん理屈だし、言い方も汚くて全く理性的じゃないし、etc,etc、とにかくまともじゃないと判断した。
(「30万人もありえる」と30万人説も視野にいれているだけならともかく、「30万人未満では絶対にありえない!」とかいってるやつはただの馬鹿)
同時に、「30万人も人が死んでたら死体の悪臭が〜(以下略)。だから南京事件はウソ」とか言ってる奴も碌なもんじゃない。ちょっと調べれば、「30万人」とか言ってる奴が碌なものではない、ということくらい分かるはずである。それなのにわざわざキチガイしか言っていない「30万人説」を取り出して全部を「無かった」ことにするのは、そいつが読者をミスディレクションしようとしている、としか思えん。
第一、首都攻防戦なんだから数万人単位で死体が出るのは当然じゃないか。
その戦死した人の死体まで「無かった」ことにするのか?でなければなぜ「死体が多ければ悪臭が〜よって嘘」になるのだ?
戦死した人の死体は悪臭はしない。しかし殺された民間人の死体は悪臭がする、
とでも言う気なのか?


はい。で。もう一つだけ、「僕が自信を持っていえること」を言おうと思う。
それだけで僕が言えることはオシマイ。
それは、「明らかな詐欺師」についての話。


僕が初めに読んだ本、それは
「「南京虐殺」の徹底検証」著、東中野修道


小林よしのり氏絶賛!「「「南京虐殺」の徹底検証」」は数ある本の中で一番信頼がおける」
とか何とか帯がついていたので、それなりにはすごい本なのかな、って思って読んだ。


んで。
この本は基本的にはこーゆースタイルで書かれている。
まず、何か資料が出てくる。
→この資料は今までは「南京虐殺の証拠の一つ」とされていた。
→しかし、詳しく読んで見るとどうも府に落ちない点がある。
→色々論説、説明する
→結論。この資料の真の意味するところは〜だったんだよ!!!(AA略
実は南京虐殺なんて存在しなかったんだよ!!!
まあ、こういうのを繰り返して、最後に「南京虐殺なんて全て幻。全てはプロパガンダなんだよ!」っていって終わる。


実際に一つ例を挙げる。
本書P115より。
以下引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今から十数年前に、第十六師団長中島今朝吾中将の陣中日記が公表された。「南京戦史資料集I」によれば、その陣中日記(十二月十三日)には次のように記されていた。

<<
一、大体捕虜はせぬ方針なれば片端より之を方付くること、なしたるも千五千一万の群集となれば之が武装を解除することすら出来ず唯彼らが全く繊維を失ひぞろぞろついて来るから安全なるものの
之が一旦騒擾せば始末に困るので部隊をトラックにて増派して監視と誘導に任じ
 十三日夕はトラックの大活動を要したりしかしながら戦勝直後のことなれば中々実行は敏速に出来ず、かかる処置は当初より予想だにせざりし処なれば参謀部は大多忙を極めたり
一、後に至りて知る処に依りて佐々木部隊丈にて処理せしもの役一万五千、大平門に於ける守備の一中隊長が処理せしもの約一三〇〇其仙鶴門付近に集結したるもの約七八千人あり、尚続々投降し来る
>>

「大体捕虜はせぬ方針なれば片端より之を片付くる」―これが師団長の日記の一節だっだ。そのため、これが読むものに衝撃を与えたのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上引用。強調してある部分は引用者(東中野氏)が傍点によって強調した部分です。
あ、あと、この中島中将の文章、本当はカタカナ書きなんだけど、読みにくいのでひらがなにしちゃいました。
この後、この本では

今までは「捕虜はせぬ方針」という言葉を「捕虜は銃殺せよ」と解釈していた。
→しかし、「捕虜は銃殺せよ」という意味に解釈すると疑問点が残る。(具体的な疑問点は面倒なので引用しない。知りたかったらこの本読んで。)
→むむむ、この「捕虜はせぬ方針」というのは致命的な”ムジュン”がある。
→そ、そうか、この「捕虜はせぬ方針」はいうのは、「投降兵は武装解除して追放せよ」という意味だったんだよ!!!!(AA略
→なるほど!そう考えれば全て説明がつく!
→日本軍は決して捕虜虐待なんて行ってなかったんだ!!!!!

という筋道をたどる。
(しつこいようだけど、詳しく筋を知りたかったら実際にこの本読んで。)


こういうのが続くわけだから、読むだび読むだび
推理小説とか神々の指紋とかを読むような新鮮な驚きが得られる。
すごい本であった。

しかし。


実際の資料「南京戦史資料集I」にはこうある。

                                                                                      • -

一、大体捕虜はせぬ方針なれば片端より之を方付くること、なしたるも千五千一万の群集となれば之が武装を解除することすら出来ず唯彼らが全く繊維を失ひぞろぞろついて来るから安全なるものの
之が一旦騒擾せば始末に困るので部隊をトラックにて増派して監視と誘導に任じ
 十三日夕はトラックの大活動を要したりしかしながら戦勝直後のことなれば中々実行は敏速に出来ず、かかる処置は当初より予想だにせざりし処なれば参謀部は大多忙を極めたり
一、後に至りて知る処に依りて佐々木部隊丈にて処理せしもの役一万五千、大平門に於ける守備の一、中隊長が処理せしもの約一三〇〇其仙鶴門付近に集結したるもの約七八千人あり、尚続々投降し来る
一、之七八千人之を片付くるには相当大なる壕を要し、中々見当たらず、一案としては百二百に分割したる後適当のけ処に誘きて処理する予定なり

                                                                                                            • -

これを見て分かるのだが、東中野氏が引用しているものは本来の文書からは後ろの一文がばっさり切り取られている。
この中島さんの日記の本当の意味は何だとか、その時日本軍は何をしていたかなんて僕には分からない。
しかし、東中野氏がどうしてこの一文を削ったのかは分かる。
これをそのまま引用すると、自分の説に矛盾が生じてしまうからだ。
捕虜の武装を解除して追放することに、「大なる壕」なんて必要なわけが無い。
ごくごく普通にとれば「大なる壕」は「殺した後の死体を埋めるためもの」という意味だ。
もしかしたら僕には想像もできないような理由で必要なのかも知れないが、もうそうならキッチリ最後の文章まで引用してその理由を説明すべきである。
ごくごく当たり前の良心をもった研究家なら、「こう考えたんだけど、僕の説だとこの部分は説明できんよなあ」と発表するとかそもそも発表しないとか、そういう行動をとるだろう。
自説に都合の悪い部分を切り取ってさも「これが真実」とばかりに主張する人間は、詐欺師である。
まさに「歴史修正主義者が本を引用していたらその本を見てみよう。歴史修正主義者が嘘つきだと言うことがよく分かる」
そのまんまじゃないか。
何でこんなバレバレの嘘を堂々とつくんだ?
何でだれも指摘しないんだ?
引用元の裏をとればこいつが嘘をついているってすぐわかるのに。


結論。南京大虐殺は僕には大きなテーマ過ぎて分からん。
しかし、これだけは言える。
東中野修道氏は詐欺師である。
東中野修道氏の本を信用が置けるので推薦する!とかいってる自称ジャーナリスト(田中正明や小林よりのり等)や、嬉々として取り出してツレツレ講釈をたれるネット右翼は詐欺の片棒を担いでいるか、それとも詐欺師にだまされたことも分からないアホのどちらかである。
どちらにせよ、僕はそのような人間の発する情報は一切信用しない。


参照:情報の海の泳ぎかた
http://d.hatena.ne.jp/meiwakoko/20070506


応援よろしくお願いします→人気blogランキングへ


※先にいっておきます。コメントくださる方は、何を言ってもよいのですが、南京事件について自説を述べてくださっても読まないのでそのつもりで。
「不毛な素人同士の水掛論」をするつもりはありませんので。
あくまで、この文章に即した形での投稿をお願いします。