雲はなぜ落ちてこないの?

みなさん、こんばんわ。

「大人のためのなぜなに科学」の時間です。


今日は徳島県のハンドルネーム「まむ」さんからのお便りです。


「なぜ雲は落ちてこないの?
地球には重力があるのに。」





いい質問ですね。

確かに、不思議ですよね。

よく、学校で
「雲の正体は小さな水滴である。
本当に小さな粒なので、軽いので落ちない」
みたいな説明をされますが、


軽かろうが重かろうが重力があれば落ちるに決まっています。


じゃあ、なぜ落ちないのかというと、
下から風(気流といいます)が流れてくるからです。


上昇気流という言葉を聞いたことがないでしょうか。




重力より強い力で、下から風がふけば、
雲の正体である小さな水滴は上に押しやられるので、下には落ちません。


「上昇気流があるところの天気は悪い」
とは、(めちゃくちゃおおざっぱに言えば)そういう理由です。


反対に下降気流(要するに上から下にかぜが吹く)のところは、
せっかく雲ができても雲が落ちてしまうので、雲はできません。
だから天気がいいです。



「雲の粒はとても軽いので落ちない」というのは、嘘です。
少なくても正確ではありません。
正確に言えば、
「雲の粒はとても軽いので空気の流れの影響が大きい」
ということです。



ちなみに、雲の粒が大きくなって、空気の流れだけでは支えきれなくなって

重力の力が勝って地面に落ちてくるのが雨です。





おわかりいただけたでしょうか。



もう一通いきましょう。


愛知県の「けん」さんからのお便りです。


「こないだ、理科の授業で『前線』という言葉を習いました。
温かい空気と冷たい空気の境目を前線と呼ぶらしいです。
でも、分かんないことがあります。
なぜ、温かい空気と冷たい空気は混ざらないのでしょう?
部屋の右半分が冷たい空気で左半分が暖かい空気なんて状態、
普通ないですよね?
混ざりますよね?
先生に聞いても、『とにかくそういうもんだから覚えろ』って言われました」



いい質問ですね。

理科ってのは、「なぜそうなるの?」ってことを考える学問ですから、
「とにかくそういうもんだから覚えろ」っていう態度は一番やっちゃいけないことですよね。
でも、日本の教育って、そういうこと軽視しまくりですね。
とにかく、疑問を覚えることは、とてもいいことだと思うのですよ。



結論から言えば、


混ざります。


空気と空気が触れ合っていて仕切りも何もないんだから、
混ざるに決まっています。


でも、天気図とかでは前線があることになっていて、
混ざるそぶりなんかないじゃん!とか思うかもしれません。

うん、そうなんです。

混ざるけど、混ざることは考えなくていいんです。



というのは、前線の大きさって、数千Kmというとてつもない大きさです。
んでもって、あったかい空気と冷たい空気がまざる勢いって、
せいぜい数十センチ/秒 がせいぜいです。
風考えたらそんなもんですよね?
とてつもない横幅を持つ前線の大きさに比べて、
数十センチが一日かけて混ざってもせいぜい数キロにしかなりませんから、
混ざっていることなんて気象予報士さんとかは無視しちゃってるのです。



ですから、こんな風に前線があったとして、

その前線上のほんの、ほんの一部分を超拡大してやると、

こんな風に混ざっています。
繰り返しますが、前線の大きさに比べたら
こんなものは本当にちっぽけなんで無視しちゃいます。


普通、前線ができるときってのは、温かい空気と冷たい空気がぶつかるときです。
何千Kmという大きさの空気のかたまりがぶつかるのだから、とてつもない力です。
前線の発達とか進化とか理科でやると思いますが、
それも重力とかコリオリ力とか、とてつもなく大きな力が働きます。

そんなとてつもなく大きな力が働く前線の動きにおいて、
「混ざる力」ってとっても弱いので、に明日の天気が知りたい!
とか考えて行動する予報士さんとかは、おおざっぱに考えればよいので、
細かいことは気にしないんです。

だから、前線で混ざることなんてみんな考えないだけであって、混ざらないわけじゃないんです。





おわかりいただけたでしょうか。



「大人のためのなぜなに科学」は、年齢男女問わず色々な皆様からの
質問を大募集しています。
下らないことでも、難しすぎて学校の先生から「そんなこと分からん!」
って言われたことでも結構です。



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お便り待ってます。
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