「つまりメリットは何もないわけですね?」

目についたから反論してみる。

「で、メリットはなんですか?」

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20091112/1257981327



外国人参政権を導入するメリットは何?」と聞かれたら答えられなくて、
「なぜ人を殺してはいけないのか」聞かれて答えられなかった大江健三郎の気持ちが分かったとかのたまう外国人参政権賛成派の人のお話。



なるほど。このブログ主にとって、
外国人参政権を導入すべきことは、人を殺してはいけないこと
と同列に当たり前すぎるほど当たり前のことらしい。

なんつか、「大江逃げるなよ」と思ったとわざわざ書いているのだから、
自分で自分が議論から逃げているってことに気づいているのかな?






まず「メリット・デメリット論議」にうつる前に確認をさせてください。

あなたにお聞きします。

ご存知の通り、帝国議会においては「満25歳以上の男性で直接国税15円以上を納めている者に選挙権付与」されました。これに対して制限の撤廃を求める「“普通選挙”の実施」を求める声がありました。

あなたはこの「普通選挙の実施」を求める人々に「で、メリットはなんですか?」とお尋ねになるんでしょうか。

男子の普通選挙が実施されたのは1925年で、女性解放運動活動家からは「女性に対する選挙権の付与」を求める声が沸き起こりました。

あなたはこの「女性の選挙権付与」を求める人、それを支持する人に対して「で、メリットはなんですか?」と問いかけるのでしょうか?

もうひとつお尋ねします。

あなたは憲法における選挙権や人権、生活権について、国に保障「させている」とお考えですか?それとも国に保障「してもらっている」とお考えですか?

上記は議論をするにあたって非常に重要な問題です。

お答えがない場合は「憲法、人権についてよくご存じない方」として対応させていただきます。



勝手に脳内敵を作って勝手に論破完了して勝手に「答えられないだろう」と予想なさっておられる。
確かに単なるネトウヨには答えられないだろうから、僕が代わりに答えてあげよう。

>あなたはこの「普通選挙の実施」を求める人々に「で、メリットはなんですか?」とお尋ねになるんでしょうか。

僕なら、たぶん尋ねない。
なぜなら、普通選挙の実施にメリットがあることなんて、火を見るより明らかなことだからだ。
一部の高額納税者の意見のみで動く政府より、貧乏人を含めた一般国民の意見で動く政府の方が
多角的な意見が集まり、より国民の意見に沿った政治ができるからだ。
これ以上ないってくらい明らかなメリットじゃん。
もし仮に、僕が普通選挙実施運動の時代に普通選挙実施を求める人に「メリットは何?」
って聞いて答えられないようだったら、僕はその運動家を軽蔑するし、
何も考えずに「運動が好きなだけ」の馬鹿だとしか思わない。
>あなたはこの「普通選挙の実施」を求める人々に「で、メリットはなんですか?」とお尋ねになるんでしょうか。
そのような問いを発すること自体、普通選挙を求めた人を馬鹿にする行為であり、民主主義を愚弄する行為である。


>あなたはこの「女性の選挙権付与」を求める人、それを支持する人に対して「で、メリットはなんですか?」と問いかけるのでしょうか?
これも同じこと。
男性ばかりの意見による政府より、人口の半分を占める女性の意見も取り入れた政府の方が、
よりよい政治をする可能性が圧倒的に高い。
十分過ぎるほどのメリットだ。


>もうひとつお尋ねします。
>あなたは憲法における選挙権や人権、生活権について、国に保障「させている」とお考えですか?
>それとも国に保障「してもらっている」とお考えですか?


あえて言えば、国に保障「させている」の方かな?
しかし、そのような二択しか思いつかないということこそ、
全く日本国憲法について無知な証拠だとしか思えない。


なぜなら、国民主権日本国憲法において、国の意思とは国民の意思とイコールであり、
国民と国が分離していることはありえないからだ。
主権者たる国民が、国民自身に与えている権利は、誰かから与えられた物ではなく
自分達自身による約束ごとである。
国に保障「させている」にしろ、国に保障「してもらっている」
にしろ、何か国民から離れた所にある「国」なるものが存在し、その存在と国民が対立しているかのような誤った印象をうける。
しかし、現実は、「国が権利を保障する」と言ったら主権者たる国民自身の意思により権利を保障していることに他ならない。


確かに、天皇主権の大日本帝国憲法とかだったら、また話は別だよ。
天皇の利害関係(正確に言えば天皇を操れる立場にいた元老や軍部の利害)
と国民の利害関係がいつも一致しているとは限らず、国の意思と国民の意思にずれがあることは十分にあり得ることだ。


僕は、選挙権や人権、生活権は非常に大切なものだと思っているので、そういう諸権利を大切にする人に投票することに決めている。
すなわち、権利を保障する、というのは、僕の意志である。
国に保障「させている」も国に保障「してもらっている」もどちらも間違いだ。
国民(=国)が自らの意思で保障している、というのが正しい認識である。



そもそも社会的弱者、少数派に「権利」を付与することは多数派にとってメリットが見いだせないのはある意味、当然といえば当然である。
それは生活保護にしろ、ホームレス対策、貧困対策だって同様である。

これ、本気で言っているとしたら、偽善者まるだしぴったんこかんかんでくるくるぱーまですね。
どれだけ上から目線なんだよ。
「自分にとってはメリットないけどそれでも弱者に施しをさずげる俺様かっこいい!」
ってことをオブラートに包まずにそのまま言ってしまっては、弱者の方も怒るんじゃないか?
>弱者/少数者の権利を尊重しない国は、結局のところ衰退していくと私は思うけどね。
自分でも分かってるジャン。
国が、弱者/少数者の権利を尊重するのは、別に国がボランティア組織だからじゃない。
弱者/少数者の権利を尊重するのは、結局のところ国が豊かになり、国民全員のプラスになるからだ。
つまり、これも、国にとってメリットがあるからしてることなんだよ。


少なくても主権者のはしくれである僕は、「弱者に権利を与えることにはメリットがないけどあげてやる」
なんていう傲慢な考え方は絶対にしたくないし、「弱者に権利を与えない方が得」とか、そんな結論いやすぎる。


もうひとつは「メリット/デメリット」論議における「神の視点」とでもいうべきな「無根拠に権力側に自分が立っているという自覚」である。
前からいってるけど、当たり前じゃん。
国民主権なんだから。
国民は、誰だって権力側の人間ですよ?
朕は国家なり
まさに正論。
公務員以外には「自分=政府」という発想は少ないかも知れないけど、
行政の最高責任者を選ぶ権利を有している以上、民間で働く我々もまた国家そのものである。
むしろ逆に問いたい。


あなたは、権力者ではないのですか?

せっかくの日本国憲法で与えられた諸権利を行使していないのですか?
憲法の意義を分かっていないのですか?





繰り返す。
日本国政府が法律を作るときにメリット/デメリットの話が出たら、
それは日本国政府の主権である国民のメリット/デメリットとイコールである。


「で、メリットはなんですか?」と聞かれて答えられないということは、
「メリットはない」と言っていることと同じだ。
つまり、「国民にとってメリットはない」と言っていることと同じである。
そして、国は国民にとってメリットがないことはしないし、また、してはいけない。
国民にとってメリットがないという言葉の意味は、国にとってメリットがないということとイコールだからである。


感じるものがあった方は応援お願いします。→人気ブログランキングへ