理想の歴史教育とは

前回の続きをやります。
問題のDVDは見てませんが、一応↓の資料(台本?)を基に話をします。
http://www06.jaycee.or.jp/2006/soul/modern/modules/xfsection/download.php?fileid=8


まず、「どこが問題なのか分からない」と言う意見が出たので、一応指摘しておきます。


開国したばかりの日本にも、北に位置するロシアの脅威が迫っていた。ロシアは、凍らない
軍港の確保や領土拡大を目的とした南下政策を推し進めていた。
こうしたロシアの動きに対し、日本は朝鮮半島の近代化を促し、共にアジアの仲間としてロシアに対抗しようとした。
しかし一方でそれが、朝鮮を属国と見なしていた清との摩擦を生み出し、それが戦争に発展してしまう。これが1984年に始まった日清戦争だ。


ロシアが欲しかったのは凍らない軍港ではなくて商用の港だと思いますが。
ロシアが朝鮮を欲しがっていたのは事実だが、(細かい事言えば日本が開国したばかりのころはそうでもなかったがな)それは朝鮮に港を作らせて船で貿易がしたいからで、わざわざ陸続きになっていない日本を占領する意味が分からん。
それから日清戦争では朝鮮は清の味方をしたんですが。
もちろん朝鮮にも日本派はいました。朝鮮史の中で一番有名な朝鮮人金玉均など。
(ちなみな、なぜこの人が一番有名かというと、世界史の授業中この人が出てきた瞬間になぜか××たまー、××たまー、と騒ぎ出す奴が絶対にいるからです。)
でもこの人が朝鮮で起こしたクーデターは失敗に終わり、結局日清戦争のころには殺されちゃってます。
何度も言いますが、「日本は南下政策を取るロシアに対抗するため朝鮮を併合した」って言い分が成り立つのなら、「ロシアは北進政策を取る日本に対抗するため朝鮮を併合する」って言い分も成り立つよな?


雄太「うん、日清日露戦争に勝ったことで、朝鮮中国大陸満洲、そして台湾を統治下に置いたことは、昨日話したよね?


ちょっと待て。
置いてないよ。
朝鮮半島と台湾はいいとしても、満洲は統治下においてないよ。
雄太くん、君はどの日本から来たんだい?
もしかして満州国のこと?満州国日露戦争の30年も後の事だし、独立国だったって事にしておかないとやばいんじゃないの?


当時の中国大陸中国人同士が血で血を洗う内乱状態にあり、その代表が蒋介石毛沢東であった。そして、中国大陸で
日本が力を持つことをもっとも恐れたロシアは、中国大陸における覇権争いをしていた国民党共産党を巧みに操り、様々な謀略を日本にしかけ始めた。そうとは知らない日本は、中国大陸で抜けるに抜け出せない、泥沼のような戦いを繰り広げていくことになっていく。


21箇条の要求を中国に要求した加藤高明外相は共産主義者のスパイだったのです!(加藤さんは後に共産主義者を片っ端からとりしまる治安維持法を制定しているけどね)
満州事変を起こした石原莞爾大先生も共産主義者のスパイだったのです!
日本が中国大陸で力を持たせないためには日本が中国に攻め込まないようにするのが一番だと思うのですがなぜかロシアは逆に日本を中国に攻め込ませるように操ったのです!



日露戦争以降、欧米列強は時刻の利益のみを考えたブロック経済政策を推し進めた。これは、自国と植民地の間では関税を優遇し、それ以外の国との貿易に対しては、非常に高い関税を課すというものであった。これによって大打撃を受けたのが、日本などの自国に資源を持たない工業国であった。
その一方でアメリカは、アジアにおける主導権を確立しつつある日本に脅威を感じて仮想敵国と見なし、様々な戦略を練っていた。その戦略に基づいて日本を抑え込むために、中国イギリスオランダと共同し、石油やゴム、鉄鉱の輸出を禁止し、あらゆる資源の貿易を取り止めるという経済封鎖を行った。これがいわゆるABCD包囲網だ。


頭痛いんですが…
ええと…日露戦争からブロック経済までって結構間があるだろうとかもうどうでもいいから、
とりあえず、日本は中国と戦争していたし、イギリスやオランダと戦争していたドイツと同盟組んでいた。イギリスやオランダと友好国で中国の権益が欲しいアメリカを敵に回すのも必然と思うのですが。
きっと、雄太くんの考える理想の「美しい日本」って、
戦争してる敵国や敵国の同盟国とも友好的に貿易するべき
と考えているのでしょうが、ちょっと慈愛が溢れすぎじゃないですかねー。



…もう面倒臭くなってきたので残りはパス。



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とにかく、歴史教育は、双方の言い分を教えるのべきだと思うんだ。

例えばクリミヤ戦争は、
ロシア側の「おおおれはボスポラス海峡ダーダネルス海峡が欲しいんじゃあ!そおおしないと自国の農民の作った穀物が輸出できなくて農民が路頭に迷うんじゃあ!!」
ってのと、イギリスの
「なあめとんのかあロスケ!そんなことしたら私の経済植民地のトルコが危なくなるじゃないかあああ!地中海は俺様のものだああ!勝手なまねするんじゃねええええ!!!!」
てのを両方教科書に書くべきだとおもう。


韓国併合にしても、
「日本は市場と労働力が欲しいんだ!地元の反対?
そんなもの知ったことかああ!!
少なくても国際社会は認めてるぜ!負けチョンの遠吠えなんてしるかああああ!
ちゃんと近代化してGNPや人口を増大させてやったんだ!文句言う方が間違ってるうう!!!!」



大東亜戦争にしても、
「日本はアジアに埋まってる石油が欲しいんだあああ!!!それのなあああにがいけない???
日本人が飢えて死ぬくらいなら、ぶち殺して奪ってやるさ!
何百年も植民地支配して搾取しまくった毛唐共に抗議する資格なんてあるわけがないだろうう!!!!」


とかを教科書に書け。
んで、
「我が朝鮮の宗主国は中国様以外に無いニダ。
それを謀略によって我が国を支配した日本は許せんニダ。
併合のせいで国内が混乱したし、チョッパリが始めた戦争につき合わされて貧窮したニダ。
ウリナラマンセー!!!!」
「ジャッッップは私の獲物……じゃなくて友好国の中国に攻め行ってなああめてるのか!!!!九ヶ国条約や不戦条約違反だ!
それでちょっと経済制裁でおしおきしたら逆ギレして仏印侵略ってふざけるなあああああ!!!!!
わああるいのは全部てめえだろうがああああ!!!!」
とかも書け。
んで。できたら「どっちが正しいと思う?」ってアンケート取らせて、
クラスを二つにわけて討論させろ。
学校の討論なんて、先生がどっちにつくかによって全く変わってくると思うけど、
先生は必ず数の少ない方につけ。
どんな戦争にでも、どんなに悪い戦争ってレッテル貼られてる戦争でも、当事者にはそれなりの言い分やそれなりの大義名分がある。
「こっち側に味方する理由が見付からない」ってことには絶対にならない。
どっちにつこうが、それなりには理論武装できる。
そうやって話し合えば、生徒は「なぜ戦争がおきるのか」ってこと、少しは分かるだろう。
歴史を学ぶ上で大事なのは、歴史から教訓を読み取ることであって、
「あれは共産主義者に操られていただけなんだ。本心じゃないんだ。だから日本は悪くないんだよ」
なんてわけの分からん事を言う事ではないとおもう。
あ、あと、「それぞれの言い分」ってのは、あくまでその当時のありのままの言い分であって、後世になってから捏造された「本当はこうだったんだよ、だからこの戦争は正義の戦争なんだよ」なんていう大義名分は教える意味は無い。


(また続くかも)



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