続・ゆーとーり教育

ええと、第一問はpantheran-onca さんの言うことが正解です。太陽の黒点が黒く見えるのは、
直接的には黒点の部分はあまり光ってないから」です。


大学で輻射論とかをやると、「温度の高いものはより強く光る」ということが分かりますが、
とにかく、温度が低い部分はあまり光らないんです。
(コメント欄でも書きましたが、温度が低い理由は中心から来る熱いガスが運ばれてこないからです)

これをフィルタをかませたり、夕焼けのなんかで直接目で見えるくらい暗くすると、

あまりもともとあんまり光ってない部分は光が全然来ないので黒にしか見えません。



第二問では、
まずは、0が発見される前はどうやって数字を表していたかというと、
中国では七千五百三十八だとか八黄河砂八千垓 とか表していたんですよね。
うっとおしいです。
非常にうっとおしいです。うっとしいけど、これなんかまだマシな方です。
ローマなんかではMCMXCIXだのXVIIIっていう風に表していたわけですよね。(それぞれ1999,18)
何でこんなことする必要があったかっていうと、
1000が(100ではなく1000が)七個で、100が5個で … それらをひっくるめた数っていうのを表す必要があったからです。
だから、位取りを表す数字+その位取りが何個あるのかを表す数字を書く必要があったんです。


今の表記になれた人は、
何でそういうことしなくちゃなんないわけ?大きい方から左から書いていって、右から、一、十、百、千、と数えてきゃいいじゃん?
と思うかも知れません。
しかし、


一八


とだけ書かれただけではこれが18を意味しているのか108を意味しているのか18000を意味しているのか分からないんです!
だから、しょうがないから、
一万八千  とか書かなきゃいけないんです!

これでゼロが発見されたおかげで、
108なら108、1800なら1800と、何も数字がない部分にゼロを入れることによって、そこに何も無いことを表して、すっきりした表記ができるようになったのです。


ガッテンしていただけたでしょうか。
「そんなこと?んなもん当たり前じゃん」と思われた方、すみません。


さて。ここからが本題。
これで何が言いたかったかというと、
ゆとり教育ってこういうことだろってことが言いたかったんです。


学校で優秀な奴なら、「太陽の黒点は温度が低いから」ってことは知っている。
でも、「なぜ温度が低いと黒く見えるの?」って突っ込まれたら答えられない奴があまりにも多すぎる。
それでは何も分かっていないのと同じだ。
確かに、学校のテストでは「周りより温度が低いから」と書けばマルがもらえる。
でも、マルがもらえても何も分かっていない。
ただ、無意味な呪文を一個暗誦したのと同じだ。
なぜこういうことが起きるかというと、高校までの学校教育では「大学受験を突破すること」以外に目的が無いからだ。
大学受験はペーパーテストで行われる。
だから、ペーパーテストのスキルさえ身につければよいと教師も生徒も思っている。
本来、ペーパーテストは「分かっているかどうか」を問うものだったはずだ。
しかし、今ではペーパーテストのやり方が攻略されつくし、「分かっていなくてもテストはできる」という状態になってしまった。
「太陽の黒点はなぜ黒いのか?」という問いは、↑のようなことを分かっているか試す問題だったはずだ。
↑を文章にすれば確かに「周りに比べて温度が低いから」というような文章になるかもしれない。
しかし、分かっていて文章に表した答案と、「周りに比べて温度が低いから」という文章を暗記してただ書き写しただけの答案は採点者には区別がつかない。
だから、本質を理解しなくてもテストさえできればいいと、安易に暗記させた結果、何も役に立たない膨大なお経の束だけしか得られなかった大人が量産された。
だから、ペーパーテストができるだけではなく、本質を理解しようということで、ゆとり教育がスタートしたんだろ?
テストでは、「ゼロの発見」と書けばマルがもらえる。
しかし、そこから一歩進めば、学問が有機的につながっているということが分かるはずだ。
その、有機的なつながりは決してテストには出ない。
しかし、意味不明な暗記ではなく、こういうことを知る方がよっぽど楽しいし、役に立つはずだし、それが教育なんじゃないのか?
テストを重視するあまり、教育そのものをすっ飛ばしてしまったことへのアンチテーゼがゆとり教育なんだ。
円周率は決して3.14なんかではない。円周率が非循環方無限小数(要するに3.1415926…ってずっと続くってこと)ってことに、円周率を学ぶ真髄があるんだろう。
円周率が3になったからといって、概算というものの本質が変わったわけじゃないだろう。
3.14だろうが3だろうがπの近似値には違いないんだ。
「円周率って3.14のことだろ?3にしてどうする」なんて言っている奴は、何にも分かってない。
もう一度小学校からやり直せ。


でさ、ここで言ってから気づいたんだけど、
野依良治(座長) 化学者
池田守男(座長代理)経営者
浅利慶太      演出家
海老名香葉子    エッセイスト
小野元之      日本学術振興会理事長)
陰山英男      立命館小学校副校長
葛西敬之      JR東海会長
門川大作      京都市教育委員会教育長
川勝平太      歴史学者
小谷実可子     元五輪選手
小宮山宏      工学者
品川裕香      ノンフィクションライター
白石真澄      評論家
張富士夫      経営者
中嶋嶺雄      政治学
義家弘介      元教育者
渡邉美樹      経営者 

教育再生会議って、教育の専門家いないのな。

せめて、現文科相でバリバリのお偉方と大学で教育を専門にしている教育学者はつけるべきじゃないのか?
確かに素人だからできる斬新なアイデアってのも分からなくもないけどさ、
トンチンカンなことや事実に反する思い込みはすぐにでも修正きかすために専門家は入れておくべきじゃないの?
長い間激論を交わした挙句、無意味でした〜では何にもならないだろ。
でさ、
教育再生会議の第一次報告


単にゆとり教育=教育内容を減らすこと


としか認識してなくね?

この「素人の評論好きが現実見ないで自分の思い出に浸って管巻いているだけ」って言われる会議、
まさにそのとおりじゃね?



文科省からこんなこと言われたみたいだし。
●再生会議報告に冷ややか=文部科学省
 政府の教育再生会議野依良治座長)が24日に正式決定した第1次報告に対し、文部科学省内の反応は「具体的によく分からない」「矛盾点が多い」など極めて冷ややかだ。中には「受け狙いなんでしょ」という声まで出ている。
 同報告が「国は、学校に対する独立した第三者機関による厳格な外部評価・監査システムの導入を検討する」とし、「教育水準保障機関」(仮称)の設置を打ち出している点には「イギリスのオフステッド(教育水準局)をイメージしているのかもしれないが、それだと地方分権の流れに逆行することになる」(初等中等教育局幹部)と当惑顔。別の幹部も「正直言ってこれでは、政策にならない」とため息を漏らす。
 安倍晋三首相は同報告を受け、学校教育、地方教育行政、教育職員免許の3法の改正案を今国会に提出するよう指示したが、文科省内では、「教育委員会制度改革なんて、まだ全く詰め切れていない」(同)との認識で、3法案すべてを今国会に提出することには慎重だ。
 このような官僚の反応に、伊吹文明文科相は「行政権を掌握している内閣の長が、そのような意向を示されたわけだから、粛々と努力していく」と再生会議報告具体化へ向けた努力を指示。「これから作業は大変なことになるが、諸君たちが努力をしてやった仕事の一つ一つが20年、50年、100年後評価される時が必ず来る」と檄(げき)を飛ばしているが、参院選を控えたこの国会でどこまで進むか、先行きは不透明だ(時事通信


座長の野依さんは「塾は禁止。私は塾なんかに行かないできちんとやってきた」
とか言っているけど、
おいおい、野依さんよ。
あんた灘→京大だろ?
それをまずあんたの後輩に言ってくれないか?
ここ数年で灘から京大行った人間で塾行った事がないやつなんて、3%にも満たないと思うぞ?
時代は変わったんだよ。現実を見てくれ。


※1よく、ペーパーテストを批判する奴はできない奴がひがんでいるだけと言われます。この言葉が妥当かどうか分かりません。分かりませんが、(このブログの初期から見てる人は知ってると思いますが)僕は東大受かったのでその意味では僕は言う権利があると思います。東大の入試はクソです。


※2僕自身、ゆとり教育は駄目だと思っているのですが、ゆとり教育の是非とゆとり教育が何であるのか分かっていないで政策に携わることは全く別の問題だと思っているので、こういうことを言いました。


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