続・々・本気で憲法九条を変えたくないのなら


前回前々回に引き続き、本気で憲法を変えたくないのならシリーズ(?)第三弾です。


前回ではお玉さん
http://app.blog.livedoor.jp/haru_saku/tb.cgi/50657964
から「もっと勉強しなさい。まずは『高校生からわかる日本国憲法の論点』を読みなさい」
という指令を受けたので、読んできました。


大学で「日本国憲法」の講義を受けた僕に「高校生からわかる」という憲法の本を薦めるとはなかなかやるな、と思いましたが、
売られた喧嘩はすべて買う(喧嘩じゃないですけど(笑))のが僕の主義なので、
読みました。ええ、読みましたとも。
確かに、高校生でも分かるように平易な文章で書かれていましたが、かなり新しい発見があるいい本だったと思います。
「為政者にとって憲法なんてないほうがいい」という言及には舌を巻きました。
確かにその通りなんですよね。
それでも明らかにおかしいだろっていうところは何か所かありましたが、それはつっこまずにおいときます。


ええと…で…
大変申し訳ないのですが、これを読んでも前回の書き込み、のどこに基本的な誤認があるのか分からなかったのですが…


思ったのは、お玉さんを初めとする「護憲ブロガー」と僕とどこに思想上の違いがあるんだろう?
ということなんですけど、
ズバリ「国家権力=悪」と考えているかどうかだと思うんですよね。
僕は、残念ながら、国家権力=悪とは思いません。貧乏でも小中高大と教育受けさせてもらったし、落し物したときや道に迷ったとき警察にはお世話になったし。
で、お玉さんにとっては国家権力は悪なんですよね。


引用させてもらいます。


以下、お玉おばさんでもわかる政治の話より引用


教育基本法第10条


教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行なわれるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確率を目標として行なわれなければならない


不当な支配とは政府による支配のことです。教育は教育に携わる者の良心と自主性に基づいて行なわれねばならない。これは戦時軍国教育からの教訓であり、「天皇がいったから」「国がいったから」を許さないものです。これをばっさり消し去ったのよね。で、政府案ではどうなっているかというと


「教育は・・・(中略)この法律及び他の法律の定めるところにより行なわれるべきもの」「地方公共団体は、実施しなければならない」(政府案第16条)「政府は、教育の振興に関する施策の総合的勝つ計画的な推進を図るため、教育振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずるべき施策そのほか必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告すると共に、公表しなければならない」


きゃ〜〜国に報告かよ・・


(引用終わり)

政府による支配がなぜ不当な支配なのですか?
国に報告するのがなぜいけないのですか?

そこが、会話が平行線をたどる根本だと思うんですよ。
少なくても国公立の学校では教育は政府がやっているんですわけですよね。
政府がやっていることを政府に報告するのは、そこまで悪いこととは思えませんのですが。
とは言っても、モンテスキュー以来の「権力の分立」という立場から言えば、各執行機関(つまり学校)と中央政府の間に独立性を認めることにはある程度意味があるとはいえます。
中央政府がおかしくなっちゃったときに訳のわからん教育命令がこないとも限らないわけだし。
でもさ、今なぜ教育基本法を改正しようとしてるかって言うと、
日教組のやることがあまりにも常軌を逸しているからでしょ?
(正確に言うと、常軌を逸していると自民党とその支持者が判断したから、ですが)


国vs日教組がどちらが正しいか、僕の意見はおいときますが、これだけははっきりいえます。
国のやることはすべて正しくない」というのは間違いです。
「国のやることに反対している勢力がやることはすべて正しい」というのは間違いです。
(一応、念のために言っとくけど、「国のやることはすべて正しい」って言っているわけじゃないからね)


民主党は味方じゃなかったのか!」とお嘆きのようですが、
民主党は、お玉さんの味方ではありません。
民主党も結局目指すところは政権交代して自分達が国民を支配すること、ということに変わりないですから。
ただ、政権交代を目標とするあまり、
基本的な考え方は自民党と同じだが政権交代を目指すには自民党と違いを見せなければいけない
→とりあえず自民党のやることには何でも反対!
という作戦を取っているだけで基本的な考え方は自民党と同じですから。


共産党も、お玉さんの味方ではありません。
共産党も結局のところ、目指すのは「よりよい政府」「よりよい政治」ですから。


社民党は、一応お玉さんの味方と言えるかな…
社民党の基本スタンスは「日本は全て悪」ですから。
ただ、社民党は少なくても日本よりはたくさん軍隊持ってて日本よりは国の中央集権具合が激しくておそらく日本の首相よりもっと人の痛みのわからない人が独裁している北朝鮮は善とみなしているから、「国家権力」そのものを「悪」認定しているわけではないですけど。


ちいと脱線しちまいましたが、とにかく国家権力=悪とする考え方はあまり多数派ではないんです。そして、残念なことに、
日本国憲法の論点」もいっている通り「民主主義においては多数派が正しいこととされる」
んです。








で。
憲法改正問題を論じるためには、誰が、何のために憲法を変えたがっているのかを明確に認識する必要があります。(日本国憲法の論点より)
そのたうりでございます。
日本国憲法の論点」の著者である伊藤真氏が考える理由は要約するとこういうものらしいです↓


為政者に対する批判をゆるさず、内心の自由を許さない社会を作り、徴兵制を強いてバンバンアメリカと一緒に戦争をやりたいから


そうかも知れません。 また、自民党の軍事担当の人に言わせればおそらくこんなような答えが来ると思います。


どこから敵国が攻めてくるか分からないから、攻めてきたときに対処できるように法を整備するんだ。そうしとけば敵国はビビッて攻めてこないから平和になる


そうなのかも知れません。 問題は、
本当に敵国が攻めてくる可能性があるからそこから守るために自衛隊があるのか、
それとも「敵国が攻めてくる」というのは言い訳で本当は自分が攻め込みたいから軍隊を作っているのか、


っつー事ですよね。たぶん。
仮に、どっかの国が攻めてくる危険がある、というのが本当だったとしても、「敵国が攻めてくるなんて言い訳だ。本当は自分達が戦争を始めたいんだろう」なんて事を言う人は絶対に出てくるし、
仮に、本当は自分が侵攻したいだけでも「敵国が攻めてくるから自衛のために軍隊は絶対に必要である」なんていう人は出てくるでしょう。


どっちが本当だなんて誰が決めるの?
って聞かれたら、「国民一人ひとりが為政者のやることをチェックして、不誠実だと思う人間を落選させるしかないんちゃう?」
と答えます。
僕は自民党が大嫌いですが、これだけはいえます。
自民党が支持されているのは国民がアホだからだ」なんて言っている人が大きな支持を受けることは絶対にありません。


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